実は埼玉県。男の健康長寿が12位から2位に上がった意外な理由

実は埼玉県。男の健康長寿が12位から2位に上がった意外な理由

先日掲載の「なぜ、山梨県は『長寿』なのか?AIの分析でわかった衝撃の理由」が話題の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』。今回も著者でマンション管理士の廣田信子さんが、その続きとなる「2つの衝撃の理由」を紹介しています。

一人暮らしは健康長寿に繋がる?

こんにちは! 廣田信子です。

なぜ、山梨県は『長寿』なのか?AIの分析でわかった衝撃の理由」で取り上げた、AIによる健康寿命の分析の続きです。健康寿命を延ばす2つ目の秘訣は、「子どもと暮らすな! 一人で暮らせ」だと番組の中では言っています。AIの分析によると、子どもと同居している高齢者は、不健康要素とはたくさん繋がっているのに健康要素はほとんどみられないのです。

きれいに不健康要素に偏っている結果に、ちょっとびっくりしました。同居されている方は、なんか納得いかないかもしれませんよね。でもAIは感情に左右されないので先入観なく正確な結果を出すのです。

子どもと同居する高齢者が不健康である…という関係性だけではなく、不健康だから子供と同居しているという逆の関係性もあるとは考えられますが、やはり、同居は、家族にそれなりに気を遣いますし、自分で考えて自ら行動する部分が縮小し、健康寿命にとってはマイナスの要素もあるようです。

その一方、一人暮らしの高齢者には、不健康要素もあるのですが健康要素との繋がりもたくさん見られるのです。もう少し正確に言うと、一人暮らしの高齢者は健康要素に繋がるグループと、不健康要素に繋がるグループにきれいに分かれているのです。AIの分析を見ると、少なくても、子どもと同居すれば安心だから健康でいられる…一人暮らしの高齢者は孤独で不健康になりやすい…ということでないのは確かなようです。

一人暮らしだと、何でも自分で考え、段取り、行動しなくはなりません。それが健康でいられることにつながるとも言えます。また、一人暮らしだと、周りに気兼ねすることがなく自由です。好きな時に外出し、疲れた時には休む…自分の気持ちや体調にしたがって行動できます。一人暮らしの自由さをプラスにとらえて、イキイキ活動している人たちもたくさんいるのです。番組ではそういった人たちが紹介されていました。私たちの周りにも元気な一人暮らしの高齢者の方、たくさんいらっしゃいますよね

ただ、それができておらず、不健康要素に多く繋がる人たちも存在していて、それがはっきり分かれているのです。ということは、イキイキ健康グループの生活や行動を分析して、非健康グループをイキイキ健康にもっていくような施策を考えれば、健康寿命を延ばすことにつながると、番組では考えられていました。

このこと自体は、目新しい提言ではありませんが、AIのクールな分析から、高齢者の一人暮らしが増えることをマイナスの課題と考えるのではなく、一人暮らしはむしろ健康長寿につながると積極的にとらえてもいいのだと思いました。

そうはいっても、一人でいるときに倒れたら…というような一人暮らしゆえの不安はあります。でも、今の技術革新のスピードを見ると、これは科学技術によって近々に解決できるはずです。部屋に設置した感知装置やマイクロチップで健康状況に異変があったら、すぐ自動で緊急連絡がいくような仕組みはすぐにできると思います。

あとは、自立して生活ができ、気持ちが前向きでいられかどうかです。高齢者が一人暮らの自由を楽しみながら、まわりといろいろなつながりをもってイキイキ暮らしている社会…なかなかいいもんです。まず、「高齢一人暮らし」という言葉から「不安」「寂しい」「孤独というようなマイナスの言葉を連想するのをやめたいと思いました。

AIが国の施策をリードする日も近い?

3つ目の鍵もたくさんの気づきをくれましたので、書いておきたいと思います。番組では、3つ目の鍵を、「ピンピンコロリには泥棒を捕まえろ」と謎の言葉で表現。今度は、AIが、高齢の方が亡くなるまでの最後の10年間、どんな生活や行動をしていたか…を遡って分析したものです。

具体的には、亡くなった方が、直前の調査でどう答えていたか、さらにその3年前はどうだったか、さらにその3年前は…と関係性を見ていきます。そうすると、亡くなる直前まで元気な「ピンピンコロリ」ルートと、長い不健康な期間を経て亡くなるルートにはっきり分かれるのです。

では、この2つのルートでは何が違うのか、膨大な関係性を見ていくのです。そうすると、2つのルートで、亡くなる直前の調査では、健康かどうかという「体」の状態の違いが大きいのですが、(これは当たり前ですよね)その3年前の調査では、「の状態の違いが大きく表れています

そして、さらにその3年前になると、「地域コミュニティ」に関する違いが大きく表れ、特に治安上のことが密接に関係しています。「自分の住んでいる地域が安全だと感じている人」は、その後ピンピンコロリルートに繋がり、「自分の住んでいる地域は安全じゃないと感じている人」は、その後、長い不健康期間をたどるルートに繋がりやすいというのです。とにかく、AIが分析すると、そういう関係性が出るのです。それで、地域を安全にすることが健康寿命を延ばすという意味で、「ピンピンコロリには泥棒を捕まえろ」と言っていたのです。で、また、研究者の方々も、私たちも、治安がよくなると健康寿命が延びる…ってどうしてだろうとAIの出した結果の意味を考えることになります。

番組では、男性の健康寿命が全国12位から2位にジャンプアップして注目の埼玉県を調べています。県庁の担当部署に聞いても、健康のための取り組みはしているけど、なぜ、急に健康寿命が延びたのかは分からくて、調査中と言います。じゃあ、本当に治安と相対関係があるか調べてみると…埼玉県の犯罪認知件数は年々増え続け2004年にピークとなったのですが、防犯に力を入れ防犯ボランティア団体を増やしたことで犯罪が減り始め今はピークの1/3まで減っています。1/3ってすごいですよね。埼玉県は防犯ボランティア団体の数が全国1位です。暮らしている方々も治安がよくなり、ゴミのポイ捨てもなくなり、環境がよくなったと実感しているようです。

治安と健康との関係についてインタビューすると、治安がよくなると、外出しやすくなりよく歩くようになるから健康になる。治安がよくなると、心配ごとがなくなりストレスが少なくなるから健康になる。という返答が…。で、調べると、自分の住んでいる地域は安全じゃないと思っている人は、安全だと思っている人に比べて心臓病リスクが高いという研究論文もあるとのことです。

安全と健康に関係があることは、そんなに意外ではなく、納得でしたが、印象的だったのは、埼玉県の、健康に関する担当部署の方と、防犯に関する担当部署の方が集まって話す中で、お互い、それぞれで対策をしていて、健康と防犯が関係があるとは考えてもみなかった、これからは、もっと部局の壁を超えて、解決策を考えていけたら…という職員の方の声です。ほんと、役所の縦割りには、無駄が多いな~と感じることも多いけど、AIが、そんな大人の事情に関係なく、分析をしてくれることで、役所の縦割りが少しは解消できるかも…と、また、AI分析の効果を感じました。

さらに、貧富の差が広がることと治安の悪化は密接な関係があることはっきりしていて、貧富の格差が大きいところではお金持ちも含めて健康寿命が短くなっているというデータもあるそうです。改めて、社会は様々な要素が絡み合ってできていて、ある部分だけをよくしようと思ってもダメで、弱い立場の人にもやさしい社会をつくることが、安心して暮らせる社会に繋がり、それが、みんなの健康寿命を長くする…というような連鎖の中にいるだと、改めて思いました。

だったら、膨れる一方の高齢者の医療費・介護費を減らそうと思ったら、高齢者に限らず、社会の中で生きにくい人を幅広く支援する予算を増やすことが一番有効的ということになります。こんな発想、いろいろな思い込みがある人間には無理で、AIの判断の方が適確で公平…。施策を考えるには、まずAIの分析…という未来も近いのかもしれません。