恐ろしい電力会社の闇。日本から電柱がなくならない酷すぎる理由

恐ろしい電力会社の闇。日本から電柱がなくならない酷すぎる理由

No image

東京23区が8%、大阪は6%、それに対してソウルは46%…。この数字、国交省発表の各地の無電柱化率なのですが、日本には先進国ではほとんど見られない電柱が未だ「林立」しています。災害時の危険性などが指摘されながら遅々として進まぬ無電柱化、その原因はどこにあるのでしょうか。元国税調査官で作家の大村大次郎さんが、自身のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』で、その驚きの理由を暴露しています。

なぜ日本の無電柱化は韓国よりも遅れているのか?

昨今は、台風などの自然災害が頻発していますね。台風24号も非常に大きかったですし。最大瞬間風速が40メートルに近い地域もけっこうありましたからね。風速40メートルというのは、電柱が倒れるくらいの威力があるそうです。電柱が倒れてくるって、考えただけでも恐ろしいですよね。電柱は、台風などの災害時に大きな危険要素となります。

この電柱は、先進国にはほとんどないということをご存知でしたか? 先進国の大半で、電線は地中に埋めているのです。先進国に中で、これほど電柱があるのは日本だけなのです。国土交通省の発表データによると、先進国の「無電柱化」は次のようになっています。

ロンドン   100%パリ     100%ハンブルク  100%香港     95%台北     95%シンガポール 93%ニューヨーク 83%ソウル    46%ジャカルタ  35%東京23区   8%大阪     6%

これを見ると、先進国はおろか香港や台北でも、ほぼ無電柱化が達成されているのです。隣国のソウルでさえ、46%も進んでいるのです。東京の8%、大坂の6%というのは、異常に低い数値です。地震や台風が頻発する日本こそ、無電柱化をどこよりも進めなくてはならないはずなのに、この体たらくはどういうことでしょう?無電柱化の推進というのは、阪神淡路大震災のころから言われていました。が、30年経っても、まったく進んでいないのです。

これは、もちろん、行政の無策というのが第一に挙げられます。これについては、いろんなところで言われていることなので、今回は、別の要因について追及したいと思います。それは、電力会社の問題です。

電力会社の怠慢

無電柱化の費用というのは、日本では、国、地方、電力会社の三者が3分の1ずつ負担することになっています。が、これは建前上のそうなっているだけであって、電力会社が全部負担してもいいのです。電柱は災害時に停電の要因になったりするので、電力会社としては、無電柱化に率先して取り組むべきだといえるでしょう。しかも、日本の電力料金というのは、世界的に非常に高いのです。

日本の電気料金は先進国と比較した場合、日本はかなり割高であることがわかります。2013年度の先進5カ国の比較データを見ると、家庭用電力の場合、日本は24~25円、ドイツは38~39円、イギリスは22円、フランスは19円、アメリカは12円程度です。日本はドイツに次いで二番目の高さです。

ドイツは、日本よりもかなり高いように見えますが、ドイツの場合、国の政策として、再生可能エネルギーの開発費を捻出するため、その分の税金を電気料金に上乗せしているのです。その上乗せ分が、電気料金の約半分を占めるのです。そのため、電力会社が受け取る純然たる「電気料金」を比較した場合、日本はドイツと同等か、少し高いくらいなのです。

また産業用の電気料金の場合、日本は先進5か国の中では、もっとも高いのです。産業用の電気料金は、電力全体の約半分を占めるので、日本の電気料金は先進5か国の中でもっとも高いということになります。

そして、ドイツに限らず、フランス、イギリスなども、再生可能エネルギー政策などのための税金が含まれており、原価だけを見れば、日本の電気料金は、先進国の中でずば抜けて高いのです。

電気料金の国際比較(2013年度)1KWあたり

日本   家庭用24円  産業用20円アメリカ 家庭用12円  産業用6円イギリス 家庭用22円  産業用15円フランス 家庭用19円  産業用13円ドイツ  家庭用38円  産業用18円

(一般財団法人・電力中央研究所資料より)

東電の役員報酬7,000万円という異常さ

「日本は資源がない国なので、燃料費などがかかり、必然的に電気料金は高くなる」

日本の電気料金の高さについては、こういう説明がされることが多いです。確かにそれもあるかもしれません。が、もっとも大きな理由はそれではありません。日本の場合、電力会社に構造的に不合理な面が多々あり、それが電気料金を引き上げているのです。

たとえば、人件費です。福島原発の事故以来、東京電力の体質に疑問の目が向けられるようになりましたが、中でも社長、役員の報酬の高さに仰天した人も多いはずです。当時の東電の社長の報酬は、なんと7,200万円だったのです。

電力会社というのは国によって守られた企業です。一応、民間企業ではありますが、電力インフラの整備などは独占的な事業活動が認められており、しかも近年まで、電力事業は自由化されていませんでした。つまりは事実上の官制企業だといえます。

だから、電力会社の社員は、事実上の公務員だったはずです。それなのに役員報酬が7,200万円というのは言語道断なことです。

電気料金の決め方はメチャクチャ

なぜ7,200万円もの役員報酬となっていたのか? その原因は、電気料金の決め方にあります。電力料金は、電力会社が勝手に決められるものではありません。電力会社が政府に申請し、政府が認めた料金が、電気料金ということになります。しかし、この電気料金は、事実上、電力会社の言い値になっているのです。そして、その算定基準はというと「総括原価方式」という方法が採られています。これは、電力会社が、税金、燃料費、人件費、設備取得費用、株主への配当金なども算出します。

これが、電力の原価ということになり、電力料金の算定基準となるのです。電力会社は、どれだけ設備投資をしても、人件費をかけても、必ずそれを支払えるだけの料金設定がされるのです。もちろん、政府もある程度は監視します。しかし、電力会社のような巨大組織の経費について、いちいち細かい査定は不可能です。だから、ほぼ電力会社の要望通りの額が、電気料金として認められることになります。

つまり、電力会社というのは、かかった費用が必ずペイできるような仕組みになっており、どれだけ費用をかけてもいいという特権を持っているのです。だからこそ、役員報酬が7,000万円にも上る、というようなことが平然と行われていたのです。

また電力会社の料金基準で、よく批判されるのが、「株主の配当金まで原価に入れている」ということです。これは普通の企業の会計とは逆です。普通の民間企業の場合、売上から原価を差し引いた残りが、利益ということになります。そして、その利益の中から、株主への配当などが行なわれます。しかし、電力会社の場合は、原価の中にあらかじめ配当金まで含められています。だから、電力会社の配当というのは、企業の経営努力による成果ではなく、あらかじめ決められた費用なのです。

莫大な広告費を出し批判を封じ込める

電力会社の会計には、もう一つ大きな問題があります。それは、「莫大な広告費」です。福島第一原発の事故が起きる前の2011年3月度の決算によれば、電力会社10社の広告費の合計額は866億円でした。これは日本最大の民間企業トヨタの約2倍です。

中でも、東電の広告費は莫大でした。東電の2011年3月度の広告費(普及開発関係費)は、269億円だったのです。テレビ、ラジオのCMが70億円、新聞、雑誌などの広告掲載費が46億円、PR施設運営費が43億円でした。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌の広告費が年間116億円というのは、相当なものです。

テレビ、ラジオ、新聞、雑誌にとっては、東電は「超VIP」ということになります。もちろん、東電の批判などはそうそうできるものではありません。それが、東電という組織が、ここまで腐敗した、最大の要因だといえるでしょう。

財界のボスとして君臨

しかも電力会社は、財界のボスとして君臨してきました。たとえば東京電力の社長は、代々、財界の役職を歴任してきており、福島第一原発事故当時も、清水正孝社長(当時)は、日本経団連の副会長の座にありました。東電に限らず、各電力会社は、各地の財界で要職を務めてきました。電力会社は、その業務的に多額の設備の建設を行なうために、その地域に大きなお金を落とします。だから各地域の経済界で、ボス的な立場にたってきたのです。

が、これは冷静に考えれば非常におかしな話です。電力会社というのは、国から守られ、多額の収益を稼いでいる企業であり半ば官営なのです。電力料金というのは、国民にとっては、税金と同じようなものでした。いわば税金によって食わせてもらってきた企業なのです。それが、民間企業の集まりである財界にボスとして君臨することは、国民に対し、不謹慎極まりないことだといえます。電力会社が、こういう体質だったからこそ、日本国民は莫大な電気料金を払い続けてきたにも関わらず、無電柱化が世界で最低レベルにあるのです。

前号「15年で企業数が100万社も激減。隠したいニッポンの不都合な真実」では、日本経済全体が既得権益化されているということを述べましたが、その弊害を象徴するのが、電力会社といえます。